普段の授業ではあまり多く文法用語を使わないんだけど、
「このthatは関係代名詞?同格?」は、めちゃくちゃ頻繁に聞くようにしている。
「関係代名詞って、そんなに大切なの」と思うかもしれないけど、文の意味を把握するうえで重要性はけっこう高い。
たとえば、この2つの文。
A) This is the singer that Tom loves.
B) This is the singer that loves Tom.
前提として、どちらも関係代名詞。なんだけど、これを目に見えた単語だけくっつけて大雑把に読んでしまうと、「トムを」愛しているんだか、それとも「トムが」愛しているんだか、ゴチャゴチャしてしまう(そうしてストーリーの辻褄が合わなくなっていく)。
ここでのポイントは、関係代名詞は基本的に、後ろに名詞の穴が開いているということ。
Aの文だとTom lovesの後ろに穴が開いている。
A) This is the singer that Tom loves [].
このおかげで、Tom loves [the singer]という関係なんだな、ということが分かる。つまり「トムが愛している歌手」。
Bなら、主語のところに穴が開いている(あるいは、the singerがthatという語に変身して、主語のところに座っている)。
B) This is the singer that [] loves Tom.
こうやって、「関係代名詞は基本的に、後ろに名詞の穴が開いている」ということが分かると、他の文もどんどん分かってくる。
C) He is the man that Tom was talking about [].
これも関係代名詞。aboutの後ろに穴が開いているので、
Tom was talking about [the man]という関係だと伝えてくれている。
これを日本語に直すと、aboutの感じが抜けてしまって「彼が、トムが話していた男性です」となるけど、これだと「トムがその男性について話していた」のか、「トムがその男性と話していた」のか、曖昧になってしまう(→もちろんこの場合はaboutなので前者。後者なら、aboutじゃなくwithなどが使われているはず)。
実際に勉強していくと、このあと関係代名詞に加えて関係副詞(whereとか)まで登場して、頭が混乱してしまいがち。だけど、関係代名詞は「名詞の穴が開いている」と分かれば、次の2文のうちどちらが正しいかも分かってくる。
D-1) Do you know the island that Cindy likes?
D-2) Do you know the island where Cindy likes?
関係詞が苦手だと「islandは場所だから、whereを入れちゃえ」と即決したくなるけど、よく考えてみると、likeは "I like ice cream." のように、後ろに名詞が来る。そこでD-1のように書けば、Cindy likes [the island] という関係を作れて、こちらが正解ということになる。「islandは場所だ→だからwhereだ」ではなくて、あくまでその後ろの文に穴が開いていて、そこには名詞が入るはずだから… というように、元の文というか、元々はどういう関係なのかを考えられると、関係詞は格段にできるようになっていく。
英文法は「比較」とか「関係詞」とか「仮定法」とか、色んな個性ある章があって面白いんだけど、「比較」は暗記しないといけない量がけっこう多くて大変なイメージ。一方で、「関係詞」は、最初に上のように理解さえできれば、あとはそれを派生させていけば良くて、パズルのような楽しさがある。関係詞を勉強するときは、この "楽しさ" を感じてもらえたら最高だ。
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共通テストも終了。いよいよ私立大学の入試が本格化して、2月末には国公立大学の前期試験だ。
共通テスト前には、1年生の子も「先輩たちに」とキットカット等のチョコを買ってきてくれた。(わざわざ授業前にコンビニまで走って!ありがとう!)