2020年4月19日日曜日
Hedonic Adaptation
MOOCs (Massic Open Online Courses = ムークス)とは、Wikipediaの説明によれば「インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な開かれた講義のこと」で(全ての機能が無料で使えるわけではないけど...)、有名なのがCoursera(コーセラ)だ。他にはedX(エデックス)がよく知られている。
簡単に言えば、世界中の大学の著名な教授の授業がオンラインで受講できるんだけど、今このCourseraでは、Yale University(イェール大学)のThe Science of Well-Beingという授業が無料で公開されている。
well-beingは一言でいえば「幸福」のことなので、どうやったら幸せになれるんだ?という直球勝負の内容が展開されるんだけど、イェール大学ではものすごく人気な授業らしい。
その中で、hedonic adaptationというキーワードが何度も登場する。日本語にすれば"快楽適応"だけど、端的に言えば、嬉しいことが起きても、次第に人間はその状態に順応してしまうという概念だ。
Laurie Santos教授が言うには(というか正確には自分が書き留めたメモによると)、hedonic adaptationにおいては、
"awesomeness wanes as time passes"
ということらしい。「すごい!」とか、どちらかというと「すげー!」に近い感覚だけど、そういうとき "Awesome!" と声に出すことが良くある。awesomenessはその名詞で、日本語で表現しにくいけど、あえて言えば、すごい!という気持ちが、時を経るにつれてwane(衰えていく)。
この授業で登場した例では、給料が上がったときはものすごく嬉しいけど、次第にその上がった給料が当然のものになっていく。あるいは、イェール大学に合格したときは天にも昇るような気持ちだった学生も、大学生活が始まってしばらく経てば、その状態に順応してしまって、別に毎日「ああ嬉しい」とは思わない。
これらがhedonic adaptationで、これをthwart(阻止する)するのがwell-beingにつながるということらしい。そのためのテクニックがいくつも紹介されるんだけど、その中の1つがnegative visualizationで、要は「いま自分は〇〇という状態にhedonic adaptationしちゃってるけど、もし今、〇〇という状態じゃなかったら?」とあえて考えてみるというもの。そうやって想像力を働かせることで、今の状態に感謝することができるということだろう。
(やっとここからが本題です…。)
それで、現在(本日4/19時点)、コロナウイルス対策で、授業は全てオンラインに切り替えているし、自習もいったんできない状態になっているんだけど、これによって、今までの自分のhedonic adaptationを認識させられている感じがする。
教室で授業を受けに、物理的にみんなが集まれるということ。みんなが教室に来て自習ができるということ。今まであまりに当たり前のように感じていたことを、今回のコロナウイルスは、実はいつだって当然とみなして良いことではないんだぞと、まざまざと示している。negative visualizationをするまでもなく、そういう環境に感謝しないといけないんだなということを毎日実感する。
幸い、インターネットが存在しているおかげで、授業もできるし、生徒のみんなの質問にも答えられるし、ライティングの添削ですらパソコンの画面を共有しながらスムーズにできる。でも、やっぱり一番は、みんなの顔を見ながら授業をして、話をして、そういう日々なんだなと思う。
たぶん、今度のコロナウイルスのことで、「ああ、〇〇って、当たり前じゃなかったんだな」と、1人1人が、自分のhedonic adaptationに気づかされているんじゃないだろうか。それで、こんなこと書くと月並みと思われそうだけど、やっぱりそれに”感謝”することが、well-beingのための肝なのかなという気がする。
以下は、コロナウイルスで部屋を一時的に閉める前の時期にいただいた、差し入れの写真です。(写真を撮れていないものも多くあります、すみません!)
生徒のみんなといただいたものもあれば、教室で眠っているものもあります。自由に外に出られるようになって、教室でみんなと美味しく食べられる日が早くかえってきますように!!(差し入れのお心遣い、いつもありがとうございます!!)