2022年5月28日土曜日

MAY


最近、統計学の勉強に結構ハマっている。

ちょっと変な日本語だけど、自分は「物事が分かりたい」という欲求が強めで、たとえば新聞を読んだときに「ふむふむ、そういうことか」と“納得して読めたい”という気持ちが大きい。

それで、統計学をやっていると、「この番組の視聴率は先週より2%下がって…」みたいな話を聞いたときに、「その2%って意味のある差なの?誤差の範囲じゃないの?」という検証を自分ですることができて楽しい。

受験業界でいえば、よく「偏差値教育は良くない!」という主張がなされるけど、「そもそも偏差値って何」というのも、統計学の勉強をするとけっこう序盤に登場する。



ちなみに最初は本だけで進めていたんだけど、それだと限界があって、Udemyというオンライン学習サービスの動画を並行して活用している。(これがなかったら挫折していた可能性がけっこう高い。大学時代の統計学の授業で苦労した自分からすると、すぐにネットで不明点を調べられる今日の学生のみんなが物凄く羨ましい。)



ところで、新しい分野を学習するときのハードルの1つに、「その業界ならではの基本的な用語、概念」がスッと頭に入ってこないというのがあると思う。

統計学なら、たとえばこんな説明があったとして:


母分散(シグマ2乗)が未知で、標本の大きさnが十分に大きくないとき、不偏分散(シグマハット)をシグマの代わりに用いることができないので、正規分布ではなく、自由度n-1のt分布を利用することになる。


テスト直前に教科書を読み始めた大学生だったら、この時点で逃げ出したくなる。

「シグマ? 自由度? t分布?」

こうしてそれぞれの単語をネットで検索するんだけど、そもそも「母分散とは」とか「正規分布とは」とか、こういう土台が頭に定着していないと、t分布についていくら読んでも分からず、挫折への道が待っている。

あるいは、「母分散」も「不偏分散」も「t分布」も知ってはいる、だけど上の文章を読んだときに「スッと頭に入ってこない」という段階もあると思う。「ええと、不偏分散って何やったっけ、ええとー… ああ、あれのことか」ぐらいだと、「不偏分散とは何か」はギリギリ分かっても、「不偏分散を使った説明をスラスラ読む」、「不偏分散を使った式を自分で作る」みたいな作業はなかなかスムーズにいかない。この山を越えると、「理解できる」「使いこなせる」みたいなレベルに進んでいくことができる。



…ということを、統計学をやりながら自分自身で実感している。

英語だったら、まずは単語レベルの話で「greenhouse gasesって何やっけ…ええっと… 何かの気体? ああ、あれか、温室効果ガスか」ぐらいのスピードだと、これがリスニングだったらその間に話がどんどん先に進んでしまう。

あるいは、授業の説明で

この文、「Practicingって動名詞で始まってて、ここが主語か」って思うかもしれんけど、コンマの後ろにSVあるから、このPracticingの部分は、動名詞じゃなくて分詞構文やね

と言われたとき、「動名詞? 分詞構文?」といったワードが自分のなかであまり浸透していなくて、そこで思考がストップしてしまうみたいな場面もあるだろう。



バスケでドリブルが精一杯の初心者に「もっとメンバー全体の動きを見てパスして」とアドバイスしてもできるわけがないように、「頭の中で用語や概念が定着していない」と、そこに意識がとられてしまって、「何となく言ってることは分かる気がするけど、うーん…」というモヤモヤした状態になる。



自分の統計学の勉強だと、手を動かして自分で数式を作ってみたり、テキストの内容をまとめ直しているうちに、用語というか、統計学ならではの概念が次第に定着してきたような気がする。

英単語なら、1つ1つの英単語の意味を覚えるのも大切だけど、さらに、既に勉強済みの文章を音読して、「文脈の中で、単語(→そして単語が組み合わさって作られている一文一文、もっと大きくいえば文章全体)の意味が頭にスルスルッと入ってくる」ようにトレーニングすることも効果がある。

あとは、「人に説明すると、むしろ自分のなかで理解が深まる」こともよくある。(先生っていう職業の人たちが自分の専門分野の知識を忘れにくいのは、毎年自分の口で喋っているから、というのも大きいと思う。)



色々と書いたけど、「よく分からないなあ」というときに、「全く分かっていないわけじゃなくて、重要な用語とか概念がまだ定着していない(or理解が浅いままで放置している)」ケースが存在する、と意識しているだけでも、解決の糸口になることがあるんじゃないかなと思う。



塾の授業だと、「ここは是非覚えてほしい」というときは、しつこく「これは頭に入れてね」とお願いしたり、あるいは意識的に、同じ説明を複数回の授業にまたいで何度もしたりすることがある。これは、まさに「一度サラッと聞いただけで定着するわけがない」という思いがあるからで、特に分かっておいた方が良いポイントについては強調して伝えるようにしている。塾生のみんなのが「あ、これは授業で何度もやってるあの話か」と頭の中ですぐ理解できる状態になってくれると嬉しい。



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保護者のみなさん・卒業生メンバーからの差し入れ、とてもありがたいです。

美味しくいただいています!