2022年9月5日月曜日

発音の話: リエゾン、フラップt



英語のリスニングが難しい要因の1つに、単語が1つ1つ区切って発音されないというのがある。



Did you get in?

こんなシンプルな一文でも、慣れていないと聞き取るのが難しい。

まず冒頭部分で、これを「ディッド」「ユー」と区切って発音することはほとんどなくて、たいていは「ディッジュー」になる。(ちなみに、なぜかこれは意識しなくても、ほとんどの子が最初からこの発音で読める。)


この、音がつながる現象をリエゾンと呼ぶんだけど、このせいで、覚えている単語が違った音で聞こえてくる。

上の文でいえば、後半部分。「ゲット」「イン」と発音してくれれば、英語を習いたての人でも「get inだな」と認識できるんだろうけど、実際にはこの2つのワードはリエゾンしてしまう。

だから、耳には「ディッジュー・ゲティン?」と聞こえてきたりして、Did youはともかく、get inで脳がストップしてしまって「ゲティンってどういう意味ですか」という事態になる。



さらにここに、falp t(フラップt)が登場する。

get in の2つが組み合わさって「ゲティン」になるのは想像がつきやすいけど、このtの音が、しばしばdの音に変化してしまって、「ゲティン」が、結果として「ゲディン」になってしまう。

この、tの音が、dの音へと変化するのが、フラップtだ。

もっと言うと、dというよりも、何ていうか日本語のラ行の音(lでもrでもない)で発音されていると感じることが多い。

つまり…

「ゲティン」→「ゲディン」→「ゲン」

と変遷していって、Did you get in? が「ディッジュー・ゲリン?」になってしまう。

(※ただし、いつだってtの音ならフラップする、というわけではないから一応注意)



要は、リエゾン & フラップt の合わせ技なんだけど、これを知らないと、何度リスニングの音源を聞き直しても「先生、ここget inって言ってないっすよ。なんかゲリンって言ってる」ということになる。



他にも、「英語の発音」業界(?)では、hの音が消えたり、知識として知っておいた方がよさそうなポイントがいくつかある。

hの音が消えるっていうのは、Did he get in? の前半が「ディッドヒ―」じゃなくて「ディディー」に変化するということ。つまり「ディディー・ゲリン?」で、ここまでくると、発音に注意を払わずに英語をやってきた人にとっては意味不明な音になってしまう。

…と、書き始めるとキリがないんだけど、まずはリエゾンflap tを知っているだけでも、だいぶ違うんじゃないかと思う。

(ただし、tの音がフラップするのは基本的にはアメリカ英語。Jeffはネイティブスピーカーと話すと頻繁に『アメリカに留学してたでしょ?』と聞かれるんだけど、tがフラップしていたり、話すときのイントネーションがアメリカ風だったりでそう判断されるのかもしれない。)



塾では、このリエゾンフラップtについては、特に1~2年生の間は授業中に何度も何度も指摘するようにしている。

ただリスニングで耳で聞くだけじゃなくて、やっぱり自分で発音するときにも意識してくれると嬉しいし、そうすることでリスニングの時にも聞こえてくるようになる。(そのうち、『リエゾンしてるな』とか、『このtはフラップしてるな』とか、そういう意識すらせずに、普通に意味として文が頭に入ってくるようになると強い。)



日本の受験システムだと、どうしても英語はリーディング(読解)がメインになってしまうんだけど、言語の学習において発音は大きな醍醐味の1つなので、こっちも楽しんでほしいなと思う。

ちなみに英語の発音、リズムを身につけるのに最適なのは、やっぱり洋楽なんじゃないかなという気がする。歌だと、強制的にリエゾンさせられる(そうじゃないとリズム通りに歌いきれない!)し、好きな曲なら何度繰り返し聞いても苦痛じゃないだろうし。

本当は、授業中にみんなで歌ったりしたら面白いよねー… 「今月の曲はこれです」みたいな感じでやれば、1年で12曲マスターできるし。(いつかコロナが収束したら、洋楽カラオケ部でも作ろうか…。)



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