以前に自由英作文の添削アプリを作ったという話を書いたけど、
最近、改めて「和文英訳の添削アプリ」を作ってみた。
"和文英訳" っていうのはちょっと業界用語っぽいけど、
要は「日本語の文」を「英語に翻訳する」ということ。
自由英作文のように自由度が高い問題の方が書いていて楽しいんだけど、
それには、基本的な表現を英語に変換できるスキルが土台としてあった方がいい。
それで、「和文英訳」って言っても、ザックリ2種類あるんじゃないかなと思っている。
(1)直訳できる問題、(2)それじゃ無理な問題、の2つ。
(2)はどういうやつかっていうと、
例えば全校集会で、校長先生がこんなセリフを発したとしよう:
「みなさん、切磋琢磨、頑張っていきましょう。よろしく!」
・・・これ、直訳するだけだと、おかしなことになる。
たぶん「切磋琢磨って何て言えばいいの?」と思う人が多いだろうけど、
他にも「頑張っていきましょう」を Let's ~ みたいに訳すのだって問題がある。
文脈的に、「一緒に頑張ろう」って意味じゃなくて、
「生徒のみんな、切磋琢磨して頑張ってよね」ぐらいに解釈すべきだろう。
「よろしく!」にいたっては、こんなに日本語では頻繁に使う表現なのに、そのまま英語に置き換えるのはほぼ無理。
たとえば京都大学とか、大阪大学とか、そういう国公立大学の二次試験に、このパターン(2) の和文英訳が多くみられる。
こういう問題は、まずは「日本語の分析」、つまり「要はどういうことが言いたいんだ」っていうところから頭を使わないといけない。
上のセリフなら、こんな感じに書き換えれば、なんとか英語にできそうな気がしてくる↓
「みなさん、互いに励ましあい、競い合って、努力していってくださいね。そうしてくれることを期待していますよ!」
大変だ。
ただ、こうした問題にせよ、自由英作文にせよ、…というかスピーキングを楽しむためにだって、まずは (1)素直に英語に置き換えられる日本語 を、そのまま英語にできる力が前提として存在しないと難しい。
前置きが長くなっちゃったけど、今回は、文法の項目別に、そういう日本語を英語に置き換える練習ができるアプリの試作版を作ってみた。
前回と同じく、AIが添削してくれるんだけど、もとの日本語がシンプルなので、添削の精度も格段に上がってくる。
たとえばこんな問題:
「彼らはその結果に満足しているに違いありませんよ。」
【解答例】は
They must be satisfied with the result. 等
なんだけど、わざと間違って入力してみよう:
They must be satisfy with the resalt
すると、数秒でAIが添削してくれる。
君、エライ!よく頑張ったな!でも、少しだけ直すところがあるぞ!
まず、最初の "They" は大文字で始まっていてOKだ!
次に "satisfy" のところだけど、ここは "satisfied" にしよう。「満足している」の意味だから、過去分詞の "satisfied" が正しい。
それから "resalt" はスペリングミスだな。正しくは "result" だ。
それに、最後にはピリオドを忘れずに!
だから、君の答えを直すとこうなる:
"They must be satisfied with the result."
解説の通り "must be ~" を使っていてとてもいい感じだ!この調子で行こう!
・・・テンション高め。ここは好みが分かれるかもだけど、
なんにせよ、修正すべき箇所は全て指摘してくれている。(文末のピリオドや、文頭が大文字かも含めて添削してくれるように設定している。)
ちなみに、【解答例】以外の答えを入力してみよう:
They are undoubtedly satisfied with the result.
(※ undoubtedly: 疑いなく)
すると:
エライ!その調子だ!君の答えは正しい!文法的にも意味的にも問題なし!
解答例に出てくる "must be" も正しいけど、君が使った "undoubtedly" も素晴らしい翻訳だ。
文の最初の "They" もちゃんと大文字で始まって、文もピリオドで終わってるね。
スペリングミスもないし、本当に良くできたぞ!ファイト!
こんな風に、別の表現をしても、それに対して添削を行ってくれる。
もちろん、微妙なアドバイスをしてきたりもする(※『AIは間違う可能性がある』っていうのは常に忘れちゃいけないと思う)けど、
元の日本語が パターン(1) のような文だから、そこまで奇妙な添削が返ってくる可能性は低め(なはず...)。
結局、前に作った「自由英作文」添削アプリの方は、生徒の子たちには公開しないままの状態なんだけど、
こちらの「和文英訳」アプリは、まずは卒業生の子たちに公開して、遊び感覚で使ってみてもらっているところ。
(アプリといってもスマホのアプリではなくて、ChromeやSafariなどのブラウザで使えるWebアプリなので、インストールしなくても、ログインするだけで操作できる。)
もう少し改善したら、生徒のみんなにも公開していこうかなと思ってます。
こういうのは手を動かすのが一番なので、
「ただ文法書を読むだけ」じゃなくて、「自分で英語の文を作っていく」楽しさを感じてもらえたら嬉しいなー。
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お菓子の差し入れをいただきました、ありがとうございます!!
(回転寿司の記事でも少し触れた、ハーベスト!)
そして、こちらは卒業生の子からコーヒーの差し入れ。
もう成人して社会人になっている子で、そのまま飲みに行ってきました(『卒業生と飲んでばっかりやん』というツッコミが聞こえてきそう…)。