ついに新年度が始まった。
1年生メンバーも入塾してくれて、外の気温も上がってきたし、新しいシーズンが始まったなーという実感がジワジワと沸いてくる。
春休みということで、卒塾メンバーの大学生もたくさん塾に遊びにきてくれた。
サークルやバイトの話、勉強の話、いろいろと聞けるのがうれしい。高校生の頃を知っているだけに、もう二十歳 前後のみんなにこう言うのもおかしな感じがするけど、「大きくなったなー」と思う。
大学でしてほしいことは多いけど、特に「本を読んだ方がいいよー」と、繰り返し言うようにしている。
Jeffが読んだ本の多くは塾の本棚に収納されていくんだけど、高校生はとにかく「部活」と「勉強」だけで既に大忙しということが多くて、なかなか本を貸してあげられない。高校生の時期こそ、様々な本を読んで考え方を柔軟に伸ばしていく時期だと思うんだけど、「背に腹は代えられない」の言葉の通り、実際には目の前の部活の試合、テスト、受験…に追われて、ゆっくり読書する暇がないことが多い。
だから、大学時代こそ、腰を据えて本を読める最大のチャンスだと思う。これには自分自身の反省もあって、大学でもっと本を読んでおけばよかったと少し悔やんでいる。大人になって本を読むと、「目からウロコ」なことだらけで、こんなに面白いことはないんじゃないかと思えるぐらいだ。
小説を読めば、「今ここ」にいる自分の世界から一瞬でワープできるし、実用書を読めば、「もっと早く知っておけば良かった!」という発見もたくさんある。
まあ、もしかすると大人になったからこそ それだけ興味をもって読めるという側面もあるのかもしれないけど、ともかく、大学生は活動の自由度が一生のうちでも最大限に高い時期なので、ぜひその中に「本」を取り入れてほしいなと思っている。
だから、大学に合格して「何か面白い本ない?」と聞かれれば本を紹介する or 貸す(ここでやっと本棚が生きる)し、逆に生徒の子たちが本を読んでいれば、何を読んでいるのか気になる。
本の楽しいところは、ある本を読んでいると、そこで別の本が紹介されていて、そちらを読んでみると、さらに別の本が出てきて… と、興味が連鎖して、どんどん読む本が広がっていくところだ。
最近も、何かのきっかけで小林秀雄の批評集みたいなものを読んでいて(興味が出た瞬間にアマゾンで買うことが多いので、もはやその「きっかけ」すら思い出せないのがすごい時代だと思う)、その中に「徒然草」を論じたものがあった。兼好法師を指して、こんなことを書いている。
彼には常に物が見えている、人間が見えている、見え過ぎている、どんな思想も意見も彼を動かすに足りぬ。(引用:小林秀雄『徒然草』)
そんなことを言われれば、今までは「学校で習う、アレ」ぐらいにしか考えていなかった「徒然草」を無性に読んでみたくなって、またもアマゾンで「現代語訳付き」をワンクリックで買うことになる。机の上に置いてある『徒然草』の一冊を見て、生徒の子は爆笑していた。自分でも、まさか徒然草を買う日が来るなんて思っていなかった。でも、「興味の連鎖」の結果、知らないうちに徒然草を読んで、テストや品詞分解も無視してただ内容だけを追っていると、案外楽しく読めてしまう。
何事も古き世のみぞ慕はしき。今様は無下にいやしくこそなりゆくめれ。
【現代語訳】何事につけても昔の世ばかりが慕わしい。現代風はむやみに下品になっていくようである。(引用:『新版現代語訳付き徒然草』第22段)
に至っては、いつの時代でも同じことを言っているんだなあと微笑を禁じえない。
・・・予定では「新学期だ!」という内容だけサクッと書く予定だったのが、徒然草の話まで書いてしまった。この辺にして、
とにかく、新学期。新しい1年、今年も充実させていきたいなと思う。今年度もよろしくお願いします!
P.S. (その1)
現在、高3・高2は満席です。高1は、授業見学WELCOME!
P.S. (その2)
保護者の皆様、卒塾メンバーのみんな、現役メンバーのみんなから、たくさん差し入れをいただいています。お気遣い、ありがとうございます!!