2023年9月8日金曜日

英語にだって丁寧な表現はある!

 

最近、1人ランチの時は、『山河燃ゆ』という1984年のNHK大河ドラマを見ている。

いま視聴している話は 第二次世界大戦の時代が舞台なんだけど、

その中で、アメリカに住む日系人が収容所へと向かわされるシーンがあった(第21話)。



歴史の詳細については今回は触れずに、英語の話。

バス乗車前、集合場所に向かうよう英語のアナウンスが鳴り響く。

Please proceed to the assembly area.

まず思ったのが、「お、Pleaseが付いてる。丁寧だな」ということ。

このとき、アメリカは日本と戦争状態にある。

日系人への風当たりも強いわけで、そんななか、アナウンスではしっかりPleaseという表現が使われていた。



ただ、これを日本語に翻訳するとなると、途端に難しい。

素直に「向かってください」でも良さそうだけど、

時代背景(&作品中での日系人に対する扱いの描写)からいって、やや丁寧すぎる気もする。

といってPleaseを無視して「向かえ」だと言い方がキツすぎる。



作品中の字幕は、「待つように」だった。

都合上、「向かう」を「待つ」に変えているのはよいとして、

「~するように。」という翻訳は、「向かってください」と「向かえ」の間をとった上手い表現だなと感心。




ところで、

「日本語は敬語表現が豊かで、英語はそうでもない」と思っている人も少なくないだろうけど、英語にだって多様な言い回しがある。

たとえば手伝ってほしいとき、直球は

Help me.

だろう。

これにPleaseを付加すれば少し丁寧さは増すし、

Could you help me?

までいけば、Help me. に比べると格段に洗練された感じがする。

大抵はこのあたりまでを中学校で勉強するだろうけど、もっと進化させることもできる。

I was wondering if you could help me.

となると、これはもう、かなり丁寧な(遠回しな...)言い方。

"仮定法"というテクニックが使われているんだけど、

これをそのまま日本語にすると、

「あなたが私を手伝ってくれるかなと思っていたところです」ぐらいの意味。

もはや、表面上は、相手に話しかけてすらいない。独り言だ。

でも、もちろんこんなことを相手に言われて

「ただの独り言か、じゃあ無視しよう」とはならないわけで、

結局は「手伝ってください」と言っているのと同じ意味が相手に伝わる。

(もしテストに出たら、『私を手伝っていただけないでしょうか』のように和訳することになる。)



もしこの I was wondering if ... が映画のセリフで登場したら、

登場人物や場面によって色んな翻訳が生まれそうで、考えるだけで楽しい。

「お手を借りられれば助かるんですがなあ」

「手伝っていただけると最高なんですけどね」

「お手伝い願えないものでしょうか」

などなど…。



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保護者の方や、卒業生の大学生の子たちから、いろんな差し入れをいただいています。

いつもありがとうございます!!