Jeffはもちろん英語の先生なんだけど、
それ以外の質問をされることも結構ある。
それで、現代文の勉強法を聞かれることもあって、
そのアドバイスは相手によって異なるんだけど(例えば1年生と受験生とでは、現代文に使える時間も違ってくる)、
そこそこ長期的に取り組めるなら、語彙(ごい)をやったほうがいいよ、と伝えることが多い。
「いやいや、日本人なんやし、語彙に時間をあてなくても…」と高をくくっている人が結構いると思うんだけど、
これが、そうでもない。
少なくない高校生が、「読めているつもり」なだけで、正確には読解できていなかったりする。
試しに、ChatGPTに作ってもらった以下の文を高校生が読んだとしよう。
現代の環境問題は、その影響が不可逆的であるにもかかわらず、多くの議論が表層的な解決策に終始している。この現象は、個々の利益追求と全体的な持続可能性との間に深刻な齟齬を生んでいることに起因する。また、問題の本質が矮小化されることで、構造的な改革が後回しにされる傾向が強まっている。これを超克するには、短期的利益を排した上での長期的視座に基づいた行動が必要不可欠である。
…たぶん、「環境問題の話」っていうのは分かる高校生が大半なんだけど、
途中で登場するちょっと難易度が高めのワードは、
「実はよく分からない… というか読み方もわからない…」みたいなことが起きがち。
◆齟齬(そご)
◆矮小化(わいしょうか)
…あたりの表現など。
同じ「読めた」と主張する人でも、
筆者の主張までちゃんと把握できた人と、「まあこういう感じの話」あたりでストップしている人だと、
同一の文章を読んだはずなのに、見えている度合いがかなり異なる。
これをJeffは「解像度が違う」と生徒の子に伝えることがある。
視力の悪い人は(Jeffもそう)、
裸眼で映画を見ていると、何となくは理解できるけど、細かいシーンはよく分からない。
でも、眼鏡やコンタクトレンズの力があれば、そのあたりも把握してしっかりストーリーについていける。
同じ映像を見ていても、どこまで見えているかという解像度は違ってくる。そういうイメージ。
だから、信じられないかもしれないけど、過去に早稲田に合格した子だって、
現代文の問題を解いた後、分からなかった表現の「意味調べ」をするようにアドバイスして(そう、小学校以来、国語の時間で辞書を使ってやらされる、あれ!)
Jeffが問題を出したりしていた。
Jeffが生徒の子たちに語彙クイズを出題すると、
「いや、そんな言葉、ほんまに使うんすか?」といったツッコミが来るんだけど、
さっきの
◆齟齬(そご)
も
◆矮小化(わいしょうか)
も、
別に特別ってわけじゃない、普通に使う表現だ。
高校生の子たちにとっての「その言葉いつ使うねん」レベルの語彙は、
問題を作る大学の先生たちからしてみれば「このぐらい知ってるよね、注は付けなくて良いよね」という水準の表現だったりする。
そんなわけで、語彙を鍛えると良いよと伝えるようにしている。
そして、これが後々、英語にも効いてくる。
というのも、英語の長文だって結局は「英語で書かれた現代文」なわけで、
レベルが上がってくれば、日本語と同じく、
「あれ、何を言ってるのか分からないかも…」という文章に出会ったりする。
そうなると、「和訳を読んでも分からない」という事態が発生しがち。
そのとき、助けとなる(or 妨げとなる)のが、語彙だ。
たとえば、
本文に inductive reasoning と書いてあって、
調べてみると「帰納的推論」と書かれている。
これで「なるほど」と思える子は、
「帰納法」のイメージがしっかりと頭の中にある子だろう。
大概の場合、
「あーなんか数学でやったなあ」とか、
「演繹(えんえき)法っていうのもあったよね? で、何やった?」とか、
そのあたりで止まってしまう。
ここを超えてほしいなーと思う。
ちなみに先日、2年生の子たちの授業で
deduce (推論する, 演繹する)
という単語が登場したので、
ちょうどこの演繹法・帰納法について解説したところ。
生徒の子たちは、
「なんで英語の塾なのに、この人はこんな熱心に演繹&帰納の話をしてるんだ…?」
と思ったかもだけど、将来もっとレベルが上がったときに、
こういう表現が「ちゃんと分かる」ことが、読解力を押し上げてくれる。
ということで、結局は、
「英語のためにも、現代文、頑張ってな!」というアドバイスになる。
生徒の子たちは、
「あー、しゃーない、結局やるしかないかー国語も!」
みたいな表情をして帰っていく(笑)
知っている言葉が増えてくると、だんだん楽しくなってくるから。頑張ってーー
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保護者の方々から、大量に差し入れをいただいています。
日本&海外のお菓子から、コーヒーやお茶、
スープに至るまで(もうすっかり冬ですね)、本当に助かります!!
そしてこちらは、スペイン旅行から戻ってきた卒業生の子が買ってきてくれた、
マサパンという郷土菓子。いつもありがとう!