2023年7月26日水曜日

"2023 夏の英文法祭り"


この夏は、希望者参加で「夏の英文法祭り」をやっている。

全 4 daysで、昨日が "Day 1" だった。



3年生がメインの企画なんだけど、2年生からも2人参加してくれていて、

あとは昨日だけ、3年生メンバーの弟くん(三国丘・泉陽ではない高校の子)も特別参加。

初日は「時制・助動詞」が範囲だった。

いろんな学年の子で一緒に授業をするのは、普段とは違った刺激があって面白い。

(特に3年生には『後輩に負けてられん…』というプレッシャーもかかる…。)




「センター試験」の時代は、がっつり文法問題がそのまま出ていたので、授業で4択問題を解説していくみたいなことも結構あったんだけど、

「共通テスト」だとそういう問題は消失したので、特に3年生は、文法問題そのものを正面からたくさん扱う機会は無くなった。

ただ、それは「文法が不要」って意味ではもちろんなくて、長文を読み解くときにも文法は大切に決まっている。




単語が英語の「材料」だとすれば、文法は、そのパーツをどうやって料理して組み合わせていくかを決める「レシピ」みたいなものだ。


Emma likes tennis.

Tennis likes Emma.

では、使っている単語は同じなのに、ただ語順が違うだけで意味が全然変わってしまう。




これを

Emma liked tennis.

とすれば、「ああ、過去の話なのか… 明示されてはいないけど、今はもうあんまりテニスしてないのかなぁ…」ということだって伝わるし、

助動詞を使って

Emma may like tennis.

なら、「絶対そうとは言えないんだけど、そうかもしれんのよ」という話し手の確信度を表現することも可能だ。

(これを Emma might like tennis. と変身させて、もっと微妙なニュアンスを出すことだってできる。)





「英語の文章を読めるようになりたい」というとき、1つの大きな目標は「意味を捉えられるようになること」で、その際にいちいち文法を意識しているっていうわけではない。

日本語だって、たとえば次の2文の「は」・「が」という助詞の違いを、会話の最中に文法的に意識している人はあまりいないと思う:


「いやー、私好きだけどね、この小説。」

「私書いたこの小説、ぜひ多くの人に読んでほしい。」


でも、試しにこの2文で「は」「が」を入れ替えてみると、大きな違和感を覚えるだろう(試しにやってみてください)。

そう考えてみると、文法をマスターする上での最終的な目標(の1つ)って、生きるために必要不可欠なはずの「空気」のことを普段は意識しないのと同じように、文法の存在自体を特に感じなくても、自然に使いこなせるようになること。なのかもしれない。




とはいえ、そのためには練習が必要。改めて夏の4日間で文法の重要部分をしっかり頭に入れなおそう!というのが今回の英文法祭り。

大変かもしれないけど、高校時代に学ぶ英文法がマスターできていれば、大学生活でも、社会に出てからも、文法面で困るケースはかなり少なくなるはずだ。言い換えれば、高校で学ぶ英文法は、英語を実用的に使う上で必要となる英文法の大部分をカバーしている。だから、この夏でぜひ英文法の力を盤石なものにしてほしい!と思って祭りを開催しています :)



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保護者の皆様からたくさんの差し入れをいただいています。

特に夏休みは早くから教室にきて長時間勉強している子も多いので、息抜きのお供に、とてもありがたいです!

お心遣い、ありがとうございます!!










2023年7月22日土曜日

「あ、これも話しとかなきゃ」

 

英語の長文を教えていると、「あ、この単語に関連して、これも追加で話しとかなきゃ」という表現に出会うことが多い。



たとえば、disruptive という単語。 辞書では「混乱を引き起こす」「破壊的な」のような日本語が載っていて、これだけだとネガティブな意味合いの形容詞なのかなと感じると思う。

だけど、現代においては、必ずしもそうとも限らない。



破壊的イノベーション (disruptive innovation) という概念があって、これは既存の市場の隙を縫ったり、完全に新しい市場を創造したりするようなイノベーション(革新)なんだけど、

この場合はむしろ、「これまでの考えを破壊して新しいものを生み出す」といったポジティブな意味で使われている。



試しに英英辞書で調べてみると、disruptiveの意味の1つとして、こう載っている:

new and original, in a way that causes major changes to how something is done (出典 Oxford Learner's Dictionaries


辞書の『混乱を引き起こす』『破壊的な』だけを覚えていると、この"new and original"という感じを掴むのはかなり難しい。

(もちろん、辞書のイメージ通り否定的な意味合いで使われていることも当然あるから、あとは文脈で判断することになる。)






他には最近、collateralというワードが長文で出てきた。

お金を借りるときの「担保」等の意味があるんだけど、高校生にとってはあまり馴染みのない概念だと思う。

「担保を準備できない人々に対して資金を貸し付けるときには~」みたいな文脈。ここで、いくら辞書で「担保」という意味を覚えても、それがどういう意味なのか分からないと、話が理解できない。

こういうときは、「じゃあAさんがBさんにお金を貸すとして、もし返してもらえなかったらヤバいから、それに備えて…」みたいに、具体例を出して、その単語がどういう概念なのか説明することになる。





国語と同じで、英語の長文も要は「文章」だから、そこでは何だって論じられる可能性がある。

コロナウイルスが取り上げられることもあれば、

経済学や論理学の話題が登場することだってある。

「そういう背景知識まで頭に入れるのは大変…」と思うこともできるけど、

むしろ、「英語の勉強をしていたら、気づけば社会の仕組みについても結構学べていた!」とか、「日本語だと出会わないような話題のおかげで見える世界が広がった!」とか、

そういう知的な世界観を広げるチャンスにしてくれたら嬉しいなー。

…と思って授業をしています :)





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塾生のみんなのために差し入れをいただきました!

ありがとうございます!!





2023年7月15日土曜日

「英語」学習は良い投資?

 

TOEIC点数と年収の真実 499以下と900台の差200万円

という記事を見つけた。



TOEIC(トーイック、トイック)は、就活生や社会人にとって馴染み深い英語テスト。記事では、

・そのTOEICのスコアと年収とは相関していて、

・さらに、上の年代になるほど、点数レベルごとの収入の差が大きくなる

といったことが書かれていた。

試しにGoogleで「英語 年収 相関」と検索してみると、似たような調査結果を紹介するページが山のように登場する。



もちろん、こういう記事を読むときは、「誰がどういう立場から書いているのか?」「調査対象は誰なのか?人数の規模は?」などに注意しておかないといけない。調査結果を大げさに表現しているサイトもあるかもしれない。

ただ、それでも、「英語はできて損はない」とは言えるんじゃないかと思う。



いったん、英語の楽しさや魅力は脇に置いてみて(→悲しいけど…)、

「英語をやって何の役に立つの」と問われれば、

特に高校生の場合は「大学入試」が一番分かりやすい。

なぜか日本の大学入試では、文系に進もうが、理系に進もうが、

「英語」は大抵、入試科目に入ってくる。

「数学が苦手だから文系にしました」みたいなケースをよく見かける一方、

英語に関しては、文系だろうが理系だろうが、あまり関係ない。

正直、「大学に入ってこの学部で勉強する上で、別に英語ってそんなに必要ないんじゃ…」という場合も沢山あるような気がするんだけど、

お構いなしに英語力が要求されたりする。



仕事に関しては、これもぶっちゃけ、「全ての仕事において英語力が必要か」と問われれば、そんなことは無いだろう。

実際、働く上で英語なんて必要ないケースは沢山あるはずだ。

ただ、他方で、「英語ができるおかげで選択肢が広がる」ということはあるなーとも思う。



たとえばこれを書いているJeff(といっても実際の中身は日本育ちの日本人)は、

東京で社会人をしていた時、たまたま友達に飲みに誘われていくと、そこにフレンドリーなアメリカ人も来ていた(仮にCindyと呼んでみよう)。

Cindyは外資系企業への転職を仲介する企業に勤めているらしかったので、

Cindyに「転職したいんだよねー」と冗談交じりに話したところ、

翌日、「こんな企業があるけどどうですか」という趣旨のメールがCindyから(Cindyの上司の人からだったかな…)届いた。

そこは色んな日用品を扱う外資系メーカーで、仕事も英語だらけ。

履歴書(というか、これまでの自分の経験を色々書いてアピールする作文みたいなもの)の時点で、全て英語だった。

「良さそうやん…」というわけで選考に参加してみると、幸運にも合格。

短い期間ではあったけど、それまでとは全く違うマーケティングの世界に入ることができた。



この仕事は日本人同士でも会議は基本的に全て英語(!)という特殊な環境で、

これも、英語が不得意だったら、そもそも選択すること自体が不可能な道だった。



コロナ前にアメリカに旅行に行ってきたけど、

これだって、大学時代に参加したシンガポールでの2週間のプログラム(世界各地の大学生が集まっていた)で出会ったアメリカ人の友達が、結婚式に招待してくれたからこそ実現した。

そもそもの このプログラムだって、英語ができなかったら応募なんてしていない。



別に、中学・高校で英語を勉強していたときには、「英語ができればこういうチャンスが生まれて…」と明確に予想できていたわけじゃないけど、

こうやって思い返してみると、英語のおかげで色んな機会に恵まれてきた。



ここでさらに、英語そのものの魅力について…も書こうかと思ったけど、

ちょっと長くなりすぎそうなので、今回はここまで。

AIが台頭して、ChatGPTが仕事を手伝ってくれて…という時代だから、

これから英語力の威力がどう変化していくのかは未知なところもあるけど、

高校生は、どうせ勉強するなら、英語は他の科目と比較しても「けっこう役立つチャンスが大きい」とはいえると思うし、楽しくどんどん得意になっていってほしいなと思って英語を教えています。

学校の定期テストも終わって、1年生・2年生ともに新しいメンバーも入ってくれたし、また夏休みに向けてみんながさらに英語を武器にしていけるようにサポートしていきたい。



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この春に卒業した大学生の子が遊びにきてくれて、塾生のみんなにお菓子の差し入れをしてくれました。ありがとうー!!





2023年7月8日土曜日

大阪府の高校入試(C問題リスニングPart C) ~音声合成を使ってリスニング問題を作ってみる~


今や、入力した文字列を自然に読み上げてくれる、音声合成の技術がかなり発達している。

…ってことは、リスニングの練習問題とかも、簡単に作れるのでは??




というわけで、昨日は(厳密に言うと、楽しすぎて気づいたら24時を過ぎてたけど…)、空き時間に、リスニング問題のサンプルを作ってみた。

大阪府の高校入試のC問題で、「会話を聞いた上で内容を6分で英語でまとめる」という、鬼のような "Part C" 問題があって、それにトライしてみた。



昔もC問題でリスニング教材を作ったことがあるんだけど、そのときはネイティブスピーカー2人に来てもらって、教室で雑音が入らないように神経を研ぎ澄ませながら録音して、あとで編集して…

と、半端じゃない苦労だった。しかも、台本にミスがあっても簡単には録音し直せない。

ところが、音声合成の技術があれば、これらが一発でクリアできてしまう。夢のような時代だ。



もちろん、注意して聞けば「ああ本物の人間が話しているわけじゃないな」と分かってしまうだろうけど、それにしたって、こういう技術を使って問題をたくさん用意しておけば、「たくさん練習量を確保したい!」という子にとっては十分に役立つんじゃないかと思う。



1日で空いた時間に作った問題なので不備があるかもだけど、ともかく「機械音声でも、リスニングの練習問題としてなかなか成立するじゃないか!」というのを感じてもらえると嬉しい。


↓雰囲気だけでも味わってみてください。


(興味のある人用に、解答例も下の方に載せておきます。)





===解答例===

     First, students can improve their English skills. They will use a lot of new words, and they can get help from English teachers. 

     Second, their public speaking skills will improve if they practice a lot. Being able to speak well in front of people is useful for their future, too. 

     Third, they can make friends with students from other schools. By playing games together, they can talk with other people more easily. This will also be a good chance to be better at communication. 

(84 words) 


要素1 
◆メイン「英語力の向上」 
◇サブ「新しい言葉を使う/使えるようになる」 
◇サブ「英語教師が助けてくれる」 

要素2 
◆メイン「人前で話す能力の向上」 
◇サブ「練習することで」 「練習する機会になる」
◇サブ「将来/大人になったときに 役立つ」

要素3 
◆メイン「新しい友達ができる」 
◇サブ「ゲーム→話すのがより容易に」 
◇サブ「コミュニケーション能力の向上」


2023年7月5日水曜日

うちわとケアレスミス

 

この前、生徒のみんな用に作った下敷き(その名も"ミシェル")の記事を書いたけど、

実は、下敷きだけじゃなくて、うちわも作成した。



ミシェルの方は、単語だけじゃなくて、"分詞構文" とか "時制の一致"とか、いわゆる文法のポイントもたくさん確認できるようになってるんだけど、

うちわの方は、純粋に「頭の中で整理しておいてほしい単語」だけを載せてみた。








「よし、これで、暑いときには うちわの風で涼みつつ、単語の勉強もしてもらえて一石二鳥だ!」と思っていたら、

発注した後に、大きなミスを発見してしまった。




緑色の面、中央あたりをよく見ると、謎の空白が空いている↓



そして、そのスペース分、文字が右のほうにずれ込んで、encourageというワードのenの文字と重複している…。

気づいたときには、もう後の祭り。発注済みだったので、もうどうしようもない。

廃棄するのももったいないので、

「ケアレスミスに注意とあんなに言ってるJeffがやらかした…」と嘆きつつ生徒のみんなに配っている。




これまでの卒業生の子たちも、いろんなケアレスミスをしてきた。

合格したから笑い話で済むけど、たとえば入試本番で、「解答やめ」とアナウンスがあった後で、最後に1ページ問題が残っているのに気づいたり(しかも簡単な問題だったらしい)、

模試で自分の名前を「タ」と入力すべきところが、マークシートを塗り間違えて「.」とドットになっていたり…。

英作文だと、とにかく多いのがスペリング、(動詞や名詞の)s抜けなど。



せっかく頑張って勉強してきたのに、そういうミスで損をするのはもったいなすぎるから、ケアレスミスには気をつけよう…と言っていた本人が、やってしまった。

恥ずかしい… 次から気をつけよう…。



(ちなみに大量に作成したので、欲しい人がいたら、生徒の子たち以外でもどんどんあげます。良ければ保護者のみなさんも英単語の勉強にどうぞ...。)



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保護者の方、そして卒業生の子からも、お菓子の差し入れをいただきました!

高校生のみんなは食べ盛りで、大抵「あーお腹すいたー」と言っている(気がする)ので、とてもありがたいです。いつもありがとうございます!




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【夏~のクラスについて】

夏休み中も、各学年、基本的には通常通りの曜日で授業を行います(お盆のあたりは休講もあります。生徒のみんなには改めて連絡します)。

3年生はすでに受験に向けて難易度が高めの長文演習をどんどん進めていますが、

2年生も、学年別クラスでは、ちょうど長文演習に入ったあたりです。

1年生は来週から、「不定詞」「動名詞」といった、英文法のメイン・キャラクターみたいな箇所を扱っていきます。


(1・2年生で超英塾に興味のある三国丘高校・泉陽高校の人は、授業体験OKです。スマホの場合は、このページ下部からLINE等でお問合せください。)