(5/27追記)
新傾向のリスニング問題に対応した、実戦問題集を作ってみました。
興味のある方は こちらの紹介ページ もご覧ください。
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前に紹介した、
「 大阪府公立高校入試の、英語問題の改革について。 」
という記事が好評だったので、もう少しこの新しい問題について紹介してみようと思う。
今回は、リスニング問題についてだ。
リスニング問題は、分析のやり方がいくつかあるんだけど、
ここでは「単語数」と「スピード」に注目してみよう。
教育委員会は、サンプルの音声まで提供してくれているので、
本番の読み上げスピードの目安まで考えることができる(太っ腹!だ)。
で、それぞれの問題の「単語数」と、「秒数」をまとめたのが次の表だ。
WPMっていうのは、「Word Per Minute」、つまり1秒間に処理する英語の単語数のこと。
普通はReadingの練習で使う概念だけど、リスニングにも当てはめられる。
これを使えば、どんな問題でも、リスニングが読み上げられる「分速」が求められるという感じだ。
で、上の表なんだけど、まず目につくのは、やはりPart-Cの単語数と秒数。
571語。これを耳だけで聞きとらないといけない。しかもう放送時間が207秒、つまり約3分半だ。
これがどれぐらいすごいかっていうと...、
英検「1級」で、一番ラストに流れる長いリスニング問題と比較してみよう。
英検1級で、
単語数「482」語、秒数「210」秒。
一方、「英語改革」のサンプル問題では、
単語数「571」語、秒数「207」秒。
えっ・・・
サンプル問題は、
英検1級と比べて 単語数が多い上に、
読み上げる秒数は英検1級より短い・・・。
すごすぎる。
もちろん、あくまでサンプルの問題だし、英検だって回によって数字は異なる。
それにしても、(問題で使われる単語の難しさとかは当然違うにしても、)
凄まじい破壊力をもった問題だ。
しかも、答え方は4択問題じゃなくて、「5分間で記述」だし・・・。
このPart-Cは、とにかく練習しまくらないといけないだろう。
もう一度、同じ表。
このPart-Bの199語というのも十分に長い。
ただし、
Part-Aに関しては、少なくとも語数・秒数という意味では、そこまで難問ではない。
ので、そこは安心していいと思う。
(問題の作り方は、今までとちょっと異なる。これは別の機会にご紹介します。)
それで、比較のために、英検3級・準2級・2級も、少しまとめてみた。
こうしてみると、WPM、つまり読み上げるスピードに関しては、
英検は別にどの級でもそんなに大差ないことが分かる。
概して、英検のリスニングのスピードは、WPMでいえば130~150程度。
「標準~ややゆっくり」と言っていいと思う。
これに対して、「英語改革」のサンプル問題のWPMは、平均して177。
「やや速め」という感じだ。
試験用の吹き込みというよりも、
ナチュラルなスピードを聞き取れるようになってほしいということなのかもしれない。
(※ここでいう「平均」は、単純に各問題のWPMの平均値をとったものです。
ちなみに、サンプル問題の「全単語数」と「全秒数」を使って平均WPMを出すと、
WPMは165になります。177よりけっこう小さい数字になる(が、それでも英検よりは速い)という感じです。
英検に関しては、どちらの算出方法でも、たいして平均の数値に違いはありませんでした。)
ところで、この英語改革の問題が、
TOEFLへの橋渡し的な役割も担っているという見方を前の記事で紹介したけど、
そのTOEFLでは、リスニングの語数はだいたい500~900の間、WPMは150~200の間、という感じだ。
(問題によってかなり異なる。放送時間は大体3~6分弱、ぐらいの間。)
だから、TOEFL予備軍(?)として期待されることになる、この問題の受験生は、
上で紹介したPart-Cの「571語」のリスニングを聴きとおすぐらいの
タフさが高校入試の時点から求められる、ということなのだろう。
➡次の関連記事
大阪府公立高校入試の英語改革 【その3】 ~リスニング問題(どれぐらい長くなる?)~