2015年2月24日火曜日

【2015前期】大阪府の公立高校入試の英語問題。



公立高校の前期入試が終わった。受験した中3のみんな、お疲れさま。

後期の可能性がある人は、もう気持ちを切り替えて、今ごろは理科・社会の勉強を頑張っていると思う。

落ち着かないと思うけど、終わったことは一旦忘れて、そのまま最後の最後まで頑張ってほしいなと思う。

もう答案用紙は渡してしまったんだから、あとは待つしかない。今は自分にできることをしっかりやろう。



★★★


ここからは、受験生のみんなは読む必要なし。そのまま勉強に戻ろう。






僕も今朝、新聞に掲載されている問題を一通り見てみた。

まず気づくのは、解答欄が今までの形式と変化していることだ。

記号の問題が、今までだったら「ア」とか「ウ」とか書かせていたところを、

「記号を〇で囲みなさい」という形式に変わっている。



「採点ミスをなくすぞ」という方針がしっかり見えてくる。

採点者の目線が、文字そのものよりも、○の位置の方にいくから、

たしかに、この形式の方が、採点ミスはしにくいだろう。

一つだけ気になるのは、

例えば濃くアに○をつけて、あとでそれを消してエに○を付けるような場合、

うまく消えなかったら〇が2つあるように見えたりしないかな・・・というぐらいだ。





とはいえ、これよりも安全策をとりたければ、もうマークシートしかないだろう。

ちなみに、2年後から始まる新しい入試問題のサンプルでは、

ライティングの問題以外、全て答えは記号になっている。

(↑こういう感じ)


ここまで来ると、もうマークシートに切り替えた方が早い、という議論になりそうな気がする。

各校にマークシートの読み取り機を購入するとかなり費用がかかるらしいけど、

泉陽高校とかは定期テストでもマークシートを前から使っているし、

入試だけじゃなくて普段の定期テストでもマークシートを活用できるんだったら

導入しても悪くないんじゃないかなと思う。

(※ただし、「思考力を見るために記述問題もしっかり残すべき」という意見にはもちろん大賛成。)












それと、英語の問題に関しては、発表によると

「英語では難度を上げ、

 読解問題の単語数を従来よりも約2割多い1350語とした」

らしい。

これは文理学科などの方(この辺でいうと三国丘高校)で使われる問題についてだ。

これだけを見ると「難化したんだなあ」という感想で終わると思うが、

個人的には、「あんまり例年と変わってない」ように感じた。

「2割増し」というとかなり単語数が多くなっている印象を与えるけど、

先ほども触れた、2年後からの新問題では、語数はこの2倍弱ぐらいはある。

この語数に近づけてもっと分量も増やすのかなと思っていたが、そこまではいっていない。

こうなると、来年は今年よりももっと語数を増やすかもしれないが、

それでも「新問題」ほどにはならないのかもしれない。

言い方を変えると、新中3のみんなと、新中2(&その後輩たち)のみんなでは、

準備しておくべき対策が全く別物ということになりそうな気がする。


【追記】

とはいえ、もう来年から入試制度が変わって問題の区分けも変わるので、

もしかして来年の英語がグッと難化してもおかしくない。

当然、そうなるっていう前提で勉強しておいた方が安全なので注意。









その他、「文理学科」系の問題の方の細かいところでは、


★グラフが登場しなかった

棒グラフも円グラフも無し。



★並び替え問題が無し。英訳は2題。

並び替え問題が消えた。英訳も去年は3題あったのが、今年は2題。

それにかわって、



★文挿入の問題が2題。

これは去年の1題から増えた。TOEFLでもかなり出題されるパターンの問題。



★ライティング(いわゆる英作文)の問題は、去年と同じく「意見」を書かせる形式。

Imagination is more important than knowledge.
(想像力は、知識よりも重要である。)

というテーマに対して、賛成or反対の立場をとって、その理由を述べる形式。

去年の「インターネットを使うことについてのあなたの考えを書け」という問題よりも

指示が明確で、形式としては書きやすい。

ただし抽象的なので、書く中身を考えるのに苦労した人も多そうだ。

もう、グラフと からめたライティングは出さないのかな。

ちなみに、この「立場を明確にして、理由を述べる」という形式は、新問題のサンプルと同じだ。

違いは語数制限の有無など。(今年は「40語程度で」という指示あり。)

たぶん、来年までは語数制限はついてくる可能性が高いと思うので、

新中3のみんなは語数に合わせて書く練習、

新中2より下のみんな(で、最難関の問題にチャレンジするつもりの子)は、

字数にとらわれずもう少し長めに書く練習をしておいた方がいいだろう。

(↑昨日の問題の解答例)


(↑「新問題」の解答例。語数をカウントする解答欄ではなくなる。)





余談だけど、語数が増えてくると、今までの

「スペルミスで1点マイナス、文法ミスで1点マイナス」みたいな採点方法では

正しく実力が判定できなくなってくる

(そういう採点だと、内容とか構成よりも、無難な文を長々と書くだけの答案の方が点数が高くなってしまう)ような気がしている。

でも、入試の採点が引き続きそういう形で行われるのであれば、

受験生はそれに対応するしかない。

だから、是非、問題を作成している委員会の方々には、

採点基準の方もより明確に教えてほしいなと思う。

学校ごとに採点の厳しい・甘いがあるのはみんな知ってることだけど、

もし採点基準は学校に委任するというのなら、

各学校の先生にはぜひその基準を公表してほしい。

「うちは正確な言語知識を重視するので、スペルミスや文法はガンガン減点します」とか、

「いや、うちは意見を明確にメッセージとして伝える姿勢を評価するので、

 細かなミスよりも、全体の構成や、主張の妥当性で判定していきます」とか、

同じ公立高校でも学校ごとのカラーが違うと面白そうだ。

まあ実際にそんなこと公表するのは難しいんだろうけど・・・。

でも、どうせ答案の開示で「この答案は何点で採点した」というのがバレる(?)時代なんだから、

そこでモメる前に、基準を明確にしておいた方が学校としてもリスクが減るかもしれない。



昔、東大合格を目指す高校生を描いた『ドラゴン桜』というマンガで、

「英作文は減点法で採点されるから、簡単な英文だけ書いておけばいい」

みたいなことが書いてあって、

僕も東大を受験したときは実際そういう方針で答案を作っていた(し、当時はそれが正しいと思っていた)けど、

ちょっとそういう方針だけでは(今後ハイレベルな4技能型の英語試験が入試で活用され始める状況において)ちょっと不十分かもなと個人的には感じている。

・・・余談おわり。










あとは、「文理学科」系ではない方の問題で、

ライティングの形式がかなり変わった。

「変わった」というか、「昔の形式に戻った」という感じだ。


答案用紙だけ見るとライティングの問題のようだが、

実際は英訳問題に近い。

メモに書かれている2点を英語で伝えられるように文章を30語程度で書け、という問題だけど、

この2点を英語にするだけで、もう30語が埋まる。

だから、実質、自分の考えを表明する余地はゼロだ。

こういう感じの問題は、前にも出題されていた。

(↑たとえば、2007後期の問題。)

どちらにせよ実質的には「英訳」問題なので、焦った子はそんなにいないんじゃないかな。












ラスト、リスニングは、例年通りの形式。

来年もこの形式で行くのだとしたら、新中3がやるべきことは「過去問でちゃんと練習する」に尽きる、ということになりそうだ。


今の形式で練習していても対応しきれないだろう。





・・・ただ「練習といっても、似たような問題がない」という課題がある。

新問題のリスニングは、ラストにメガトン級の問題があるが、

これに対応した練習問題はおそらくこの世にまだ存在していない。




というわけで、

実はいま、この練習問題を作成している。

というかほぼ完成しているのだが、色々あってまだ公開できていない。

こちらは完成したらお知らせしようと思うので、興味ある人はもう少しお待ちください。

(いまのところ未完成なのでちょっと小声)










全体としてみると、

「難化」と新聞などでは説明されているが、

2年後の新問題が大変化するのと比較してみれば、

去年からの形式をほぼ踏襲しているといっていい問題構成だった気がする。

ただし語数増加は(毎年のことだけど)要注意なので、

来月の後期対策をしている現中3(&来年 受験する新中3)のみんなとしては、

過去問は制限時間を短めに設定して練習するなどしておいた方がいい。

新中2のみんなは、とにかく猛スピードで(リスニング含め)英語力を付けておくことが何より大切だろう。









・・・上で「受験生のみんなは読む必要なし」と書いたけど、

それでも気になっちゃって、結局ここまで読んでしまった君へ。

いるだろうな・・・。(笑)

というわけで、今度こそ机に戻って、理科・社会を頑張りつつ、

英語は制限時間をちょっと短くして練習してみよう。





なんにせよ、みんなが後悔のない受験をできました(&できます)ように・・・。